生産管理がきついといわれる理由は？仕事内容や活かせる資格などを解説

工場の仕事を探しているとき、誰もが目にしたことがあるのが、生産管理の仕事です。「きつくて大変」といわれることが多いですが、具体的な業務内容を把握している人は意外と少ないのではないでしょうか？

生産管理は、生産計画の立案から、工程管理や在庫管理、品質管理まで、実にさまざまな業務に関わっています。製造業で、ひときわ重要な役割を担う仕事といえるでしょう。

この記事では、生産管理の仕事内容、仕事に活かせる資格などについて解説しています。生産管理に関心がある方は、ぜひご一読ください。

生産管理とは

現場の指揮官としての役割を担う生産管理は、販売計画に基づいて製造工程を管理するのが仕事です。生産から出荷までの体制を整え、納期に間に合うように製品の生産を進める必要があります。

品質・コスト・納期の3つを最適化することが求められ、万が一トラブルが発生したときは、状況を判断した上で、適切な対応を行わなければいけません。

主な仕事内容

生産管理の仕事は、需要の予測から生産計画の立案、品質の管理まで、多岐にわたります。どんな仕事があるのか、1つずつ見てみましょう。

需要の予測

まず、製品の需要を予測します。需要に応じた生産量を見定めないと、需要と供給のバランスが崩れてしまい、過剰な在庫を抱えたり、在庫が不足したりする恐れがあります。

競合他社や市場の動向、マーケティングによるデータ、受注データや販売計画、競合他社の動向、景気などあらゆるものを考慮して、製品の受注量を予測するのです。

需要の予測によって仕入れや人員配置などを決めるので、需要の予測はきわめて重要な仕事といえるでしょう。

生産計画の立案

次に、具体的な生産計画を立てます。需要予測を元に、「何を」「いつまでに」「どのくらい」生産するかを考えるのです。

顧客にヒアリングした上で、製品の原材料や必要な部品、資材を決めたり、生産スケジュールを考えたりと、生産計画では検討すべきことが多数あります。

取引先との交渉

納期や価格を決めるには、取引先と交渉する必要があります。例えば、原材料の調達コストを安くできないか交渉することもあるでしょう。取引先の希望を取り入れつつも、自社にとってもメリットがあるようにしなければいけません。

資材の調達計画の立案

製品を生産するためには、材料の調達も必要です。「どの業者から」「いつ」「何を」購入するのか計画を立てるのも、生産管理の業務です。低コスト・高品質の生産を目指して、仕入れコストをできるだけ抑える必要があります。

そのためには、最適な仕入れ先や適切な量を見極めることも重要です。仕入れは、たくさんすればいいわけではありません。過剰に仕入れると、キャッシュフローが悪化する可能性があります。生産計画に合った、適量の資材を調達することが求められます。

品質管理

仕入れた資材や完成した製品の品質の管理も、必須です。「一定の品質を保っているか」「適切な手順で製造されているか」などを確認し、万が一、トラブルや不良品が発生したときには、原因を解明する必要があります。

工程管理

工程管理とは、計画通りに工程が進むように管理することです。工程管理と一言でいっても、受注管理・製造管理・在庫管理・製造管理・外注管理・進捗管理と6つの業務があります。

計画と進行にズレがあれば、その都度修正していく必要があります。早急に対応して、計画全体に遅れが出ないようにしなければいけません。

作業効率の改善

納期に間に合うように製品を製造するには、スピード感も重要です。作業を効率的に行い、ムダをなくすことが求められます。例えば、業務をマニュアル化し品質が一定になることも必要だし、部門間の連携を図り情報共有に努めることも必要です。

生産管理がきついといわれる理由

生産管理の仕事は、なぜきついと言われやすいのでしょうか？さまざまな理由が考えられますが、ここでは、3つの理由をご紹介します。

納期に必ず間に合わせるというプレッシャーがある

製品には、それぞれ「納期」があります。生産管理は、納期に必ず間に合うよう、生産計画を策定したり、各製造工程をコントロールしたりする必要があります。
製造過程で、予期せぬトラブルが発生したときは、早急に解決策を見出さなければなりません。常にプレッシャーを感じながら仕事をこなすところが、生産管理の大変なところといえるでしょう。

対応力と判断力が求められる

臨機応変な対応そして迅速な判断が求められることも多いのが、生産管理です。製造の過程においては、さまざまなトラブルが発生します。例えば、設備トラブルやシステムエラー、原材料の納入遅れ、部品の不足、不良品の発生、従業員の揉め事などがあります。
また、受注量の急な変更や飛び込みの注文への対応、生産計画の見直しを求められることもあるでしょう。生産管理は、あらゆる問題に臨機応変に対応して、適切に判断した上で、現場に指示することが必須です。

各部署や取引先との調整が必要

生産管理は、さまざまな部署との調整も、重要な仕事の1つです。特に、営業部部門と経理部門は利害関係が対立しやすいため、意見が食い違うこともしばしば。
営業部門は、急な注文が入っても対応できるよう、在庫を多めに確保しておきたいですが、経理部門にしてみれば、大量の在庫を抱えることはリスクです。
また、営業部門から「顧客の受注分を優先して生産してほしい」と言われたものの、製造部門は、優先しての生産は難しいということもあるでしょう。
両者の意見を調整して、双方が納得できるよう解決する力が求められるのは、社内に限ったことではありません。取引先との交渉でも、同じです。
先方に無理なお願いをされても、相手の条件を鵜呑みにするのではなく、取引先と自社の両方にメリットを確保できるように交渉する必要があります。

生産管理の仕事の魅力

生産管理の仕事は、やりがいがあるだけではありません。この仕事ならではの魅力が3つあります。現在、生産管理の仕事に就いている人も、きっとこの魅力を日々感じていることでしょう。

キャリアアップにつながる

最初は、さまざまな工程を学びますが、一通り仕事をこなせるようになったら、ベテラン管理者やマネジメント職へとキャリアアップできる可能性があります。さらに資格を取得すれば、知識がより深まるでしょう。転職時にも、生産管理の知識やスキルは役立ちます。

年齢関係なく働ける

一度仕事を覚えたら、年齢関係なく活躍できるのも、この仕事の魅力です。生産管理の仕事は、誰にでも気軽にできるものではありません。だからこそ、スキルと経験があれば、何歳でも働けます。

一般的には、40歳を過ぎると転職は難しいですが、生産管理の経験とスキルがあれば、転職も可能です。

一から携わった製品が世に出る

携わる領域は、生産計画から取引先への出荷まで、ものづくりの全行程です。その分忙しく大変ではありますが、自分が関わった製品が店頭に並んでいるのを見たり、消費者が利用しているのを見かけた時の喜びはひとしおです。
ときには、1つの業務を達成するまでには数年単位の長い時間がかかることもあります。時間をかけた分、一から携わった製品が世に出るときは、大きな喜びになるでしょう。この仕事で、自分が社会に貢献していることを実感できた人も少なくありません。

生産管理に適している人

生産管理はハードな仕事ですが、どんな人ならば生産管理の仕事をこなせるのでしょうか？自分でも務まるのだろうか、と気になっている人もいるかもしれません。以下の5つのタイプのいずれかに該当する場合は、生産管理の仕事に適しているでしょう。

コミュニケーション上手な人

さまざまな部署や取引先と交渉するには、コミュニケーション力が欠かせません。ときには板挟みになることもありますが、双方が納得できる着地点を見出す必要があります。

生産管理は、製造工程の司令塔でもあるので、的確な指示やみんなをまとめる統制力も必要です。「この人なら信頼できる」「この人についていこう」と思われる人ならば、
トラブルが発生したときも、険悪な雰囲気にならず良好な人間関係を築きやすいです。

冷静にものごとを分析・判断できる人

生産工程の各場面に目を配るのはもちろんのこと、長期的・短期的な目線で物事を捉えることも欠かせません。また、トラブルが生じたときも、慌てず、冷静に原因を分析して、適切な対処をする必要があります。

どんなときでもその状況を俯瞰して、冷静にものごとを分析・判断できる人は、重宝されるでしょう。目の前のことに集中して、周りが見えなくなってしまう人や、感情的になってしまう人には、この仕事は向かないかもしれません。

ものづくりに興味ある人

生産管理は、製造現場を指揮する仕事なので、製造に興味があることが大前提です。ものづくりに興味がある方は、新しい知識を吸収するのも早いでしょう。製品の需要の予測から製品の出荷まで携わることに、やりがいや達成感を感じる人は多いです。

マルチタスクをこなせる人

工場でも、仕事によっては1つの仕事をマイペースに行えるものもありますが、生産管理はそうもいきません。1つの仕事をしている最中に、突然トラブルが発生することもしょっちゅうなので、同時にマルチタスクをこなせるスキルが必須です。

向上心がある人

生産管理の仕事は、覚えるべき知識やスキルが尽きることがありません。しかし、学ぶことが好きで向上心がある人ならば、やりがいを感じるでしょう。

トラブルに対応しつつも、納期に間に合うように、製造をスムーズに進めることは、決して簡単なことではありません。どんな状況であれ諦めずに、頑張って取り組める人は、生産管理にぜひ挑戦してみてください。

生産管理で活かせる資格

この仕事で活かせる資格は、生産管理プランニング・生産管理オペレーション・中小企業診断士・生産管理と、主に4つあります。仕事に就いてから取得するのもよいですが、先に取得しておくと、より仕事しやすくなるでしょう。

生産管理プランニング

1つめは、生産管理プランニングです。生産システムの設計や計画業務を担当する人対象で、工場の生産システムや生産計画などの知識を習得することができます。現場で役立つ資格なので、生産管理を目指す場合、資格を取得しておくことをおすすめします。

生産管理オペレーション

2つめは、生産管理オペレーションです。対象は、主に生産システムの統制や運用業務を担当する人で、設備管理や物流管理などの知識を習得することができます。

生産工程の効率化を図る際に、この資格があると便利です。資格取得後に実務経験を積むことで、知識がより定着しやすくなります。

中小企業診断士

3つめは、中小企業診断士です。国家資格の1つで、販売管理や経営情報システム、財務会計や企業法務など、経営全体を学ぶことができます。

難易度は高いですが、生産管理の仕事でキャリアアップしたいときには取っておきたい資格です。資格を取得すれば、経営者視点で生産管理業務を行えるようになるでしょう。

生産管理

4つめは、生産管理です。実務経験10年以上が対象で、非常に難易度が高いです。生産管理オペレーションと生産管理プランニングの知識だけでなく、現場のマネジメントに必要な専門知識や応用力も必須です。

生産管理に関するQ＆A

「この仕事は、女性でもできるのか心配」「未経験でも挑戦できる？」「将来性はある？」など、特に多い質問を選んでみました。この仕事に応募したい方は、ぜひご一読ください。

生産管理の仕事は女性でもできる？

生産管理の仕事は、女性でも可能です。一般的に、女性はマルチタスクをこなせる人が多いため、複数の仕事を同時進行するこの仕事に向いています。

また、女性はコミュニケーション上手な傾向があるため、さまざまな部署と協力しながら仕事を進めるのも、さほど苦にならないでしょう。

未経験でもOK?

生産管理に必要な資格はありませんが、仕事内容が多岐にわたるため、即戦力として採用することが多いです。就職や転職の際、ビジネス・キャリア検定や中小企業診断士などの資格があると有利になりやすいです。

資格も経験もなく、完全に未経験での挑戦は、難しいでしょう。ただし、原材料の購入や商品開発などの経験があると、採用される可能性も若干あります。

将来性がある？

将来的に、生産管理の仕事は、さらにIoｔ化が進むといわれています。工場ではAIの活用が普及するため、システムを運用できる人材が必要になるでしょう。ネットワークやプログラミングなどの専門知識を身に付けておくと、活躍の場は広がるはずです。

生産管理の仕事はやりがいがある！資格も取得してキャリアアップしよう

生産管理は、製造部門の司令塔です。計画通りに製造を進めるだけでなく、ほかの部門や取引先との交渉、トラブルへの対応など、業務内容は多岐にわたります。

誰でも簡単にできる仕事ではないけど、コミュニケーション力がある人や向上心がある人ならば、きっと前向きに取り組めるでしょう。

さらに、資格を取得すれば、より仕事への理解が深まるしキャリアアップにもつながります。生産管理の仕事で、一からものづくりに携わる喜びを実感してみてください。