倉庫管理の仕事は本当にきつい？主な仕事内容やメリットなども紹介

ネットショッピングの利用が増え、物流業界の需要が高まっていますが、商品の運搬以外にもさまざまな仕事があることをご存知ですか？荷物を管理する倉庫管理も、その1つです。

倉庫にあるさまざまな設備や在庫、人員などを管理するのが主な業務で、仕事がきついといわれることも少なくありません。この記事では、倉庫管理の仕事が本当にきついのか考えてみましょう。

倉庫管理の仕事内容やきついといわれる理由、仕事を効率的に行う方法などをまとめたので、倉庫管理の仕事に関心がある方・現在倉庫管理の仕事に就いている方は、ぜひご一読ください。

倉庫管理とは

倉庫管理とは、倉庫内にある商品に関するすべてを管理することです。商品の入庫から保管、仕分けから出荷までの一連の流れを正確且つスピーディーに行う必要があります。

倉庫管理が上手にできないと、商品の出荷に時間がかかってしまうため、業務の効率化が欠かせません。例えば、在庫の最適化や作業員の効率向上などが挙げられます。

商品の誤集荷や配送の遅延などのトラブルを防ぎ、サービス品質を維持するためにも、倉庫内の在庫を最適な状態に保つことが必須です。

倉庫管理の目的

倉庫管理の目的は、在庫の最適化・業務の効率化です。在庫を最適化すると、無駄な作業や過剰な在庫を削減可能です。そして、業務を効率化すると、コスト削減や作業時間の短縮だけでなく、出荷のミスや配送の遅延の低減にもつながります。

在庫管理との違い

倉庫管理は在庫管理とよく似ていますが、管理する範囲や業務内容が異なります。まず、管理する範囲です。倉庫管理は倉庫内のモノだけを管理しますが、在庫管理は、倉庫以外の荷物の在庫も含めて管理します。

次に、業務内容を見てみましょう。倉庫管理は、倉庫内の業務を効率化するために、商品やスケジュールなどの管理をします。

それに対して、在庫管理は、最適な在庫レベルを維持するために、過剰な在庫や不足を予防します。具体的には、各商品を追跡して、異動情報をもとに在庫量を可視化するのです。

倉庫管理の主な仕事内容

仕事は、主に、入出庫管理・在庫管理・梱包管理・検品管理・棚卸管理の5つがあります。それぞれどんな仕事内容か、詳しく解説します。

入出庫管理

入出庫管理は、実に、手間やコストがかかる作業です。入庫では、荷卸・入庫伝票の照合・検品・仕分けの4つの作業を行います。

工場や配送センターから商品が倉庫に届いたら、荷卸しします。倉庫に届いた商品と入庫伝票に記載された商品情報が一致しているか確認するのです。

確認後、荷物の中身をチェックして、不備がないか検品作業を行います。問題がなければ、倉庫内の所定の場所に各商品を保管します。

一方、出庫管理では、品出し（ピッキング）・検品・梱包・出庫伝票の照合を行います。品出し（ピッキング）では、出荷するモノを倉庫から取り出します。

その際、本当に出荷すべきものか確認するのですが、これが検品作業です。何も問題がなかったら、段ボールや緩衝材を使用して、梱包します。梱包後には、出庫伝票を貼り付けて、伝票と照合して終了です。

在庫管理

在庫管理は、倉庫内の商品の保管場所と在庫数を管理するのが、仕事です。品切れのものがあれば補充するだけでなく、商品の特性に合わせた状態で保管しなければいけません。

基本的に、同じ商品の場合、商品は入荷した順番に出荷します。そのため、入荷期日や保管期間、出荷予定日などについても管理しなければいけません。

また、荷物の在庫を適切に管理することも、在庫管理の務めです。倉庫内の在庫量を、適正な在庫量と比べてどのくらい不足しているかを確認して、発注量や発注するタイミングを調整します。

梱包管理

梱包管理は、商品を運送する際破損しないように梱包するのが、仕事です。梱包資材の発注や管理をしたり、最適な梱包方法を選定したりするのも業務で、その際や、商品の特製や運送ルートなども考慮する必要があります。

検品管理

検品管理は、入荷した商品から不良品を取り除く業務です。万が一、不良品を出荷してしまうと、顧客からの信頼を失いかねません。不良品を取り除くことは、商品の質や顧客満足度の向上にもつながります。

棚卸しの管理

棚卸し管理とは、倉庫にある商品の在庫数や品質を確認する作業のことです。この作業の目的は、「正確な在庫数の把握」と「品質管理の確保」です。

在庫数が実際の数より多かったら商品の発注を抑えたり、商品の品質が劣化していたりしたら、早期に対処することが求められます。

倉庫管理の仕事がきついといわれる理由

きついと思われやすい倉庫管理の仕事ですが、どのような点がきついのでしょうか？理由は、主に3つあります。

体力が必要

1つめは、体力が必要なことです。倉庫管理は、商品を運ぶことが多いため、最低限の体力は必要です。倉庫によっては、空調がほとんどきいてないこともあり、快適な環境とは程遠いこともあります。

また、冷蔵・冷凍倉庫で作業する場合、倉庫内では防寒着を着用しますが、屋外との気温差が大きいため、体調を崩してしまう可能性もあります。体力がないと、倉庫管理の仕事はきついと感じるでしょう。

人手不足のため多忙

2つめは、人手不足で多忙なことです。物流業界は、人手不足が大きな課題になっていますが、その一方で、倉庫需要は拡大しています。そのため、従業員の業務負担は増えて、いっそう多忙になるという悪循環になっています。

単純作業が多い

3つめは、単純作業が多いことです。一日中同じ作業を繰り返すことが多いため、集中力が切れやすくなってしまいます。また、色々な仕事をやってみたいという人にとっては、ひたすら単純作業をすることは、きついと感じるようです。

倉庫管理の仕事のメリット

それでは、次に倉庫管理の仕事のメリットを見てみましょう。メリットは、主に4つあります。

特別なスキルや経験が必要ない

１つめは、特別なスキルや経験が必要ないことです。基本的に、簡単に覚えられる仕事が多く、誰でも応募可能です。学歴や年齢関係なく挑戦できるのは、この仕事の魅力といえるでしょう。

さまざまなスキルが身に付く

2つめは、さまざまなスキルが身に付くことです。倉庫管理の仕事をこなすことで、商品をわかりやすく配置する整理整頓のスキル、ミスをしない集中力などが身に付くでしょう。さらに、倉庫管理主任者になると、スタッフを管理するスキルも備わります。

仕事の需要が安定している

3つめは、仕事の需要が安定していることです。インターネットや通販の普及により、商品のやりとりは増える一方です。今後、ロボットやAIの導入が進むとしても、やはり人の手は必要です。したがって、今後も、倉庫管理の仕事がなくなることはないでしょう。

キャリアアップの可能性がある

4つめは、キャリアアップの可能性があることです。頑張り次第で、倉庫管理主任者を経て、管理職になることも、夢ではありません。また、スキルを身につけたり資格を取得したりすることで、年収アップも期待できます。

倉庫管理の仕事に向いている人

倉庫管理の仕事のきついところやメリットがわかったものの、自分はこの仕事に向いているのかわからない人もいるかもしれません。そこで、この仕事に向いている人がどんな人か紹介します。

体力のある人

倉庫内作業は、立ち仕事が多いです。広い倉庫だと、移動距離も増えるので、体力のある人に向いています。夜勤がある可能性も高いので、体調管理が欠かせません。仕事柄、荷物を持ち運びすることも多いため、身体を動かすのが苦にならない人に適しているでしょう。

コミュニケーション力がある人

倉庫管理の仕事は、意外と、人と接する場面があります。例えば、在庫管理では、配送ドライバーや仕入れ元の業者とやり取りすることもあるでしょう。倉庫管理者やリーダーを目指す人は、コミュニケーション力があることが望ましいです。

作業全体の流れを把握できる人

目の前の仕事を正確且つ迅速にこなすことも重要ですが、作業全体の流れを把握できることも重要です。全体の流れを見渡して、効率的に仕事を進める工夫ができる人は、倉庫管理に向いているといえるでしょう。

集中力がある人

この仕事は、1人で黙々と作業する時間が圧倒的に多いです。集中力が切れそうになりそうですが、在庫数の数え間違えやチェック漏れなどがあってはいけません。集中力を持続させ、細心の注意を払って仕事に臨める人は、倉庫管理の仕事に適しています。

倉庫管理を効率よく行う方法

まだまだ人手に頼る仕事が多いですが、倉庫内の導線やレイアウトを見直すなど、さまざまな方法を実践すれば、倉庫管理を効率よく行うことが可能です。倉庫管理を効率的に行うことで、1人あたりの負担も軽減されるので、商品の質も向上するでしょう。

倉庫内の導線を見直す

作業を効率よく行うには、まず、倉庫内の導線を見直してみてください。作業手順や移動経路が明確だと、無駄な移動を削減できるため、生産性の向上が見込めます。

例えば、商品が倉庫に到着したら、まず検品、次にラベル貼付といったように導線を細かく決めるのです。効率的な作業が実現できるでしょう。

ロケーションを管理する

ロケーションすなわち商品の配置場所の管理も、効率的な作業をする上で、重要になるポイントです。倉庫内のどこに何があるかを把握していないと、商品を取り出すのに時間がかかりやすくなります。

ロケ―所管理には、商品の置き場所を決める「固定ロケーション」と空いているスペースに順次商品を入れていく「フリーロケーション」があります。

固定ロケーションは、無駄なスペースが出やすいのがデメリットですが、一度レイアウトを覚えたら作業を効率化しやすいです。一方、フリーロケーションは、場所の変動がありますが、スペースを有効活用しやすいです。

それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自社で取り扱う商品に最適なロケーション方法を選びましょう。

また、頻繁に売れる商品を倉庫の最前列に配置すると、作業の効率が上がりやすくなります。一方で、あまり売れてない商品は、倉庫の奥に配置しても問題ないでしょう。

ピッキングリストを活用する

ピッキングリストには、目的の商品だけでなく、保管場所も記載されています。荷物を回収するとき、納品書だけを見るとどこにその商品があるのかわからないため、作業にまだ慣れてない人だと見つけ出すのに時間がかかることもあるでしょう。

しかし、ピッキングリストがあれば、誰でもすぐにお目当ての品物を探し出すことが可能です。

業務の標準化

業務を標準化して、一定のルールを作ることで、作業が誰にでもわかりやすいものになります。人によって作業をこなすスピードや質にばらつきがあると、商品の質が低下する可能性がありますが、業務が標準化すれば、一定の効率と質が期待できるでしょう。

適切な在庫数にする

倉庫管理を効率的に行うには、在庫数を適切に保つことが重要です。在庫量が多すぎると、保管場所が不足する上、仕分け作業も増えてしまいます。反対に、在庫量が少なすぎると、突然の注文や追加注文に対応できなくなる恐れがあります。

適正在庫を維持することで、余分な作業やコストの発生を防げるでしょう。仕入れ量を決める際は、需要・供給のバランスを見極めることがポイントです。

倉庫管理システムを導入する

倉庫管理システム（WMS）には、入荷管理機能・在庫管理機能・出荷管理機能・棚卸管理機能・帳票・ラベル発行機能が搭載されています。倉庫内の在庫をシステム上でリアルタイムに管理できるので、作業を効率化するにはもってこいのツールといえるでしょう。

手入力の手間を減らせるので、人為的ミスを減らすことができます。古い品物が倉庫内に長期滞留することも防げるので、適正な在庫数を維持することも可能です。

無駄な作業を減らして作業コストを削減したいとき、業務負担を軽減したいときは、倉庫管理システムの導入を検討してみてください。

倉庫管理の仕事はさまざま！自分の強みを活かせる仕事を選ぼう

倉庫管理は、頑張り次第で、キャリアアップや収入アップも期待できる仕事です。きつい仕事といわれることもありますが、さまざまな業務内容があります。梱包管理が向いている人もいれば、在庫管理が向いている人もいるでしょう。

自分の強みを活かせる仕事を選べば、多少は大変でも、やりがいを感じられるはずです。現在、倉庫管理の仕事をしている人も、作業の効率化を目指してみてください。作業を効率化することで、1人ひとりの負担を軽減し、商品の質の向上につなげましょう。