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契約社員の雇止めとは?能力不足で更新しないと言われたときの対処法
契約社員は、契約期間の満了時に会社から「次回は更新しません」と言われたら、どのように対処したらよいのでしょうか?会社が更新しない理由はさまざまですが、「能力不足」も理由の1つです。
突然「更新しない」と言われたら焦ってしまいますが、雇い止めが無効になるケースもあるとご存じですか?
今回は、雇止めの主な理由、雇止めが無効になるケースや雇止めの法理が適用されやすいケース、更新しないと言われたときの対処法などについて解説します。
現在契約社員として働いている方、今後契約社員として働く予定がある方は、ぜひご一読ください。
もくじ
契約社員の雇止め
契約社員は、契約期間の満了時に更新を拒否されて、退職せざるを得ないことがあります。
これを「雇止め」といいます。
ただし、「契約を更新しない」ことが必ず雇止めになるわけではありません。
もし、雇用契約書に記載されている雇用条件が「更新しない」となっている場合、契約が更新されなくても雇止めにはならないのです。
雇止めを契約社員に伝えるとき、契約期間満了から30日前までに雇止めの予告をする必要があるケースがあります。
具体的には、3回以上有期雇用契約が更新されている場合、有期雇用契約を更新し通算1年以上の場合、1年以上の有期雇用契約をしている場合で、これらに該当するときは企業は雇止めを予告しなければいけません。
解雇との違い
雇止めと解雇の違いがよくわからないという方もいるのではないでしょうか?
雇止めと解雇は、契約終了のタイミングと対象者が異なります。
雇止めは「雇用期間が終了の時点」で契約を終わらせることを意味し、解雇は「契約期間の途中」で会社が一方的に契約解除することを意味します。
また、雇止めの対象者は「有期契約社員のみ」なのに対し、解雇の対象者は「無期契約職員と有期契約社員」です。
雇止めの主な理由
雇止めには、正当な理由が必要になります。それでは、どんな理由が正当だと扱われるのか見てみましょう。
勤務態度
職務命令に違反したり、無断欠勤や遅刻が多かったりすると、勤務態度が悪いとみなされます。また、業務中に私物のスマートフォンを利用し、注意しても繰り返し利用する場合も、勤務態度が悪いと判断され、雇止めの正当な理由になりやすいです。
健康状態
健康状態が悪く入院するなど長期間勤務できない場合は、雇止めの可能性があります。
また、メンタルヘルスの不調により長期間休業する場合も、同じく雇止めになる可能性があります。
不正行為や犯罪行為
業務に関する行為では、経理のお金を横領したり備品を盗んだりといった行為が該当します。
一方、業務外の時間に行った万引き行為や痴漢行為などは、直接事業所内の秩序に悪影響を与えるわけではないので、雇止めの直接的な理由にはなりません。
経営不振
経営不振も、雇止めの理由の一つです。経営上の理由で、人員削減せざるを得なくなると、雇止めを行うことがあります。特に、契約社員や派遣社員などの非正規社員は、リストラの対象になりやすいです。
能力不足
仕事の効率が悪かったり、業務遂行能力が不十分と判断されると、雇止めになりやすいです。例えば、勤務成績が悪かったり成果物が少なかったり、またはノルマを達成できていなかったりすると、能力不足とみなされることがあります。しかし、実際のところ、能力不足が理由であっても、すぐに解雇されることはありません。まずは注意指導したり減給したりすることが多いです。
能力不足が原因の雇止めが無効になるケース
それでは、能力不足が原因の雇止めを無効にすることは可能なのでしょうか?雇止めは3つのケースに限り無効になるので、覚えておくといざというときに役立ちます。
無期契約に転換した場合
2013年の労働契約法の改正により、契約社員は、有期雇用契約を更新して5年以上の場合、無期雇用契約へ転換可能になりました。
無期契約に転換したら、雇止めを行うことができなくなります。
つまり、通算5年の時点で無期労働契約転換の申し込みをしていれば、それ以降に、能力不足が原因で雇止めになることもないのです。
能力不足が合理的な理由でない場合
雇止めの理由が能力不足の場合、合理的な理由でなければ雇止めはできません。
合理的かどうかを判断するには、勤務成績の評価が公正に行われ、厳格な審査があります。
能力不足の立証がない場合、雇止めは違法とみなされます。
改善の可能性がある場合
現時点では能力不足であっても、適切な指導や研修によって、能力の改善の可能性がある場合は、雇止めは不可能になります。
例えば、新卒や未経験の中途入社の場合は、すぐに解雇するのでなく、まずは十分な教育が必要です。
雇止めの法理とは
雇止めは原則として許されていましたが、法律が改定され、正当な理由がなければ期間満了で契約を終了させる(雇止めをする)ことができなくなりました。
これを、雇止めの法理といいます。
雇止めの法理は、労働者が突然仕事を失い収入減や生活苦で苦しむのを予防するのが目的です。
雇止めの法理が適用されやすいケース
雇止めの法理が適用されやすいケースは、主に3つあります。それでは、一つずつご紹介します。
今まで反復して契約更新している場合
今まで何度も契約を更新している場合、実質的に期間の定めのない労働契約と同じ状態になったと判断されることがあります。
更新回数が3回以上、または契約期間1年以上経つと、このケースに該当する可能性が高いです。
更新の回数や雇用契約の通算機関、契約内容や業務内容などさまざまな内容を総合的に考慮して、雇止めの法理が適用されるか決定します。
契約更新に期待させる言動があった場合
契約更新の際に新たに契約を交わしていないとき又は契約更新を期待させる上司の発言や行動があったとき、労働者が「契約はこのまま更新されるだろう」と期待することがあります。
例えば、「そのうち正社員にしてあげるから」という発言などもその一つです。
このような場合は、雇止めが不可能になります。
業務内容が恒常的なものの場合
業務内容が継続的に行う必要があるものの場合、雇止めの法理が適用される可能性があります。
業務内容が一定期間で終了する臨時的なものや季節限定のものでなければ、恒常的な業務内容の可能性が大きいでしょう。
情報処理業におけるプログラミング業務も、恒常的な業務内容に該当します。
能力不足で更新しないと言われたときの対処法
「能力不足で更新しない」と言われることは、想定していなかった人がほとんどでしょう。
しかし、更新できないのかとすぐに諦める必要はありません。
事前に、会社と争うときの手段がわかっていれば、慌てず対処することができます。
雇用契約書や注意指導書などの確認
まず、入社時に受け取る雇用契約書を確認してみてください。
雇用契約書には、更新回数の制限や更新の有無、契約更新の判断基準などが記載されています。
「次回の更新はない」と記載されているか、確認しましょう。
雇用契約書を受け取ったとき、内容を確認せずサインをしてしまう人もたまにいますが、サインする前には契約内容を十分に理解しておくことが重要です。
雇止め予告の有無の確認
次は、雇止めの予告があったかどうかの確認です。
1年以上継続して就業した労働者または3回以上継続更新があった労働者に雇止めをする場合は、契約満了の30日前に予告することが義務付けられています。
撤回を求める
雇止めが違法なときは、そのまま受け入れる必要はありません。
異議を申し立てて、雇止めの撤回を求めましょう。
業務内容や働き方などが正社員と同じ場合、無期雇用契約と同じ状況の場合などは、雇止めに対して異議を申し立てることが可能です。
業務や異動に関する上司からのメールや会話のメモなどがあったら、雇用契約書や雇止め理由の説明書と共に、証拠として提出しましょう。
口頭でも有効ですが、会社に内容証明を送ることで、雇止めに異議を述べたという証拠にもなります。
退職届や合意書にサインしない
会社が雇止めをするとき、退職届や合意書、誓約書などさまざまな書面にサインを要求することがあります。
契約内容を確認せず、安易にサインしては危険です。
退職届や合意書にサインしたら、労働者が自発的に辞めたという証拠になってしまうので要注意です。
会社がその場でサインさせようとしても、一度家に持ち帰ってよく検討しましょう。
納得できる内容であればサインし、納得できなければサインする必要はありません。
雇止めの説明を求める
雇止めの理由が能力不足だとしても、解雇理由証明書の交付を求めることは必須です。
この場合、解雇理由は「能力不足」だけでは不十分です。
どんな能力がどのくらい足りないのか、具体的に記載されていなかったら、具体的な説明を求めましょう。
弁護士に相談する
雇止めが違法だと主張しても、会社との話し合いで解決できないケースもあります。
そんなときは、弁護士にお願いして会社と交渉してもらうのもおすすめです。
自分1人で交渉するよりも、有利な条件で解決しやすいでしょう。
雇止めを撤回させられる可能性も大きいです。
万が一、話し合いでも解決できない場合は、労働審判や労働裁判などの法的措置が必要になります。
弁護士にお任せするとそれなりの費用と時間はかかりますが、労力や精神的な負担がなくなります。
雇止めが違法となったら、会社に復職できる上、雇止めされていた期間中の未払い給料を請求できます。
また、本当は会社を辞めたいと思っている場合や割り切って転職をきめた場合、解決金による解決にすることも可能です。
能力不足で更新しないと言われたら迅速に対策を打とう
会社から更新しないと言われたら動揺してしまうかもしれませんが、焦りは禁物です。
雇止めの理由は、必ずしも正当な理由とは限りません。
まずは、契約社員として勤務している会社の雇用条件などをしっかりと確認してください。
そして、雇止めを無効にできる方法もあるので、焦らずに且つ迅速に対策を打ちましょう。